用語集

担保

読み仮名:たんぽ

お金の貸し借りをするにあたり、債務者が返済できなくなった時の事を想定して、予め債権者に提供する事物のことです。
担保は大きく分けて「人的担保」「物的担保」の2つに分けられます。

人的担保
債務者に財産がなく、支払いが不可能な場合に、債務者の人間関係を利用して債権を保護するも のです。債務者以外の第三者に債務を負わせ、その第三者が債務を履行する仕組みになっています。
債務について保証人をつけるというのも担保の一種です。保証の効果は物的担保の場合と似ていて、債務者が約束通りの弁済をしない場合に、債権者は保証人に対して債務者に対するのと同じ内容の履行を求めることができます。もちろん保証人がその弁済を履行しない場合には保証人の財産に強制執行することもできます。言い換えると、保証人をつけるということは、保証人の有する総財産を担保に取ることだと言うこともできます。とは言え、債権者が保証人の財産より弁済を得るには、裁判所の関与による換価手続が必要となります。
お金の返済のような一定の債務が履行されない場合に、債務者に代わり、保証人がその債務履行の義務を負う「保証」(民法446条以下)はこの典型です。
  なお、債務者と連帯して債務支払いの義務を負う「連帯保証」も「人的担保」のひとつですが、通常の保証に比べて債務に対する責任が重くなります。
万が一債務者が借金を返済できない時は保証人となった人が代わりに返済することを約束するものです。これを「代位弁済(だいいべんさい)」と言います。
通常の保証では、保証人が債権者から請求された場合、「実際にお金を借りた本人に請求・執行してから来てくれ」と言える権利(催告の抗弁・検索の抗弁)があるのに対し、連帯保証人にはこれらの権利がないからです。つまり、本人に請求するより前に、いきなり請求されても仕方のない立場といえます。

物的担保 「物的担保」とは、物や権利といった特定の財産で、債権を担保することです。代表的なものに「不動産」があります。また、個人向けローンとして「証券担保ローン」のようなものもあり、これは株などの有価証券を担保としてお金を借りることになります。
債務者または第三者の財産に、直接支配できる権利(物権)を設定しておき、債務者が義務を果たせない場合には、当該財産から優先的に債務を履行します。
普段の使用制限はしないものの、債務が履行されない場合には目的不動産を競売にかけ、その代金を優先的に返済にあてる「抵当権」(民法369条~398条の22)、予め借金の対価として財産を預かり、お金の返済がない場合にはその財産から返済を受ける「質権」(民法342条~366条)、債権者が債権担保の目的で所有権をはじめとする財産権を債務者または物上保証人から法律形式上譲り受け、被担保債権の弁済をもってその権利を返還する「譲渡担保」が代表的です。

ちなみに、「人的担保」は、人に対する信用という変動しやすいものに依存しているため、その契約実行能力は不確実です。担保する人に資力がなければ価値のないものになってしまいます。
一方で、「物的担保」は、物に対する信用ですから、その物の価値が維持される限り、担保の役割を手堅く果たせます。そのため確実性が高く、経済的意味では人的担保よりずっと重要と考えられています。

担保の効力
担保には、被担保債権の履行を強制する効力があり、大きく分けて、以下の二つの効力があります。
・優先弁済的効力
債務不履行の際に、担保目的物から、他の債権者に先立って優先的に債権の充足を受けられる効力。
・留置的効力
債務不履行の際に、担保目的物を留置できることで、間接的に債務者に履行を強制する効力。
債務者がその債務を履行できない場合に備えて、債権者がその債権を担保するために設定する権利を「担保権」といい、主なものとして以下があります。

担保の種類
・質権
債務者または第三者(担保提供者)から受け取った担保物を、債務が弁済されるまで留置し、弁済されない場合は、その担保物から優先して弁済を受ける権利です。
動産(不動産以外の有形財産)において多く用いられます。少額の借金をする場合に、債務者の動産を債権者に交付し、もしも債務者が約束通りの履行をしない場合には、その動産を債権者が売却し、もしくはそれを債権者固有の財産とすることにより債権の満足を得ることのできる権利です。なお、この権利を設定する場合には、必ず目的物を債権者に現実に交付することが必要です。
質権は、不動産にも設定することができます。後述する抵当権とは異なり、不動産質権の場合には、債務者は原則として債務の完済されるまで、目的物の使用をすることができなくなります。債権者は債務の弁済あるまでは目的不動産を使用・収益できます。その不動産を他人に貸している場合には、その賃料は質権者が受領することになります。
質権の特色として、債権を目的とすることができます(債権質)。後述の抵当権などは債権を目的とすることはできませんので、実社会では質権の利用はこの債権質が多いかもしれません。テナントの有する大家さんへの保証金返還請求権などに質権を設定する場合、賃借権を目的とする場合などがその代表例です。

・抵当権
特定の債権を保全するための担保権で、債務者または第三者(担保提供者)が提供した担保物の占有を債権者に移さず、抵当権設定者の手元に留めて、それを使用・収益させながら、万が一、債権が弁済されない時は、その担保物を(任意)競売し、その代金により、他に優先して弁済を受ける権利。
・根抵当権
一定の範囲に属する不特定の債権を、極度額を限度として担保するために設定される一種の抵当権。

・譲渡担保
特定の債権の担保として、債務者または第三者(担保提供者)が提供した担保物の所有権を担保の目的をもって債権者に移転し、債権が弁済されない場合は、その担保物から他に優先して弁済を受ける権利

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